気温 / グッドバイ
inert blue
2020-03-11


 今回はinert blueの「気温/グッドバイ」についてディスクレビューしていきたいと思う。

 inert blueは千葉のインディーズバンドであり、ギターロック~オルタナティブロックなどの音楽性を基軸としている。爽やかなコーラスワークや、ストレートなバンドサウンドを有し、歌心の強いメロディーを繰り広げ、バンドの持ち味としているのが特徴的だ。

1.気温

  イントロからストレートなコードストロークがかき鳴らされ、爽やかな空気感を醸成している。リズム隊もバンドを支えながらも、突き進むような強靭なグルーブを発揮している点が必見だ。キメも多用することで、リスナーのテンションを高めるようなギミックとして機能しているのが、強く耳に残る。

 特筆すべきは、ボーカルとコーラスの甘美な歌声の絡み具合だろう。少し気だるげながらも、艶のある声をしており、より爽やかな雰囲気を感じられる要素となっている。間違いなくinert blueを構成しうる強みの一つだと、理解できる。

2.グッドバイ
 

 M1「気温」と比較すると、バンドの翳りのある部分が前面的に押し出されており、切なくも激しいバンドサウンドを解き放っている。ミュージックビデオも、楽曲の雰囲気に合わせて作られており、よりエモーショナルな気持ちにさせてくれる。

 ほんのりと、シューゲイザーからの影響を垣間見れるような轟音サウンドが、特徴となっている。唸るようにフレーズを繰り出すリードギターが、特に目立っており、思わず耳を奪われてしまう。歌のメロディも、激しいバンドサウンドに負けないくらい、耳なじみの良いものとなっており、リスナーの記憶に強く焼き付けるようなインパクトに溢れている。

【総評】

 1枚目の作品ながらも、楽曲の完成度が高いものとなっており、音楽性においても十分に確立している印象を受ける。歌心の強い作品となっており、ライブのパフォーマンスもエモーショナルで熱量の溢れるものとなっていることから、若い世代を中心に人気を獲得していくのではないかという、淡い期待を抱かせてくれるようなシングルに仕上がっていると思われる。