手を振る
SPACE SHOWER MUSIC
2014-12-03

 今回はAge Factoryのミニアルバム作品「手を振る」について全曲レビューをしていきたいと思う。

 「手を振る」は彼らの1stミニアルバム作品となっており、ハードコア/パンク/ポストロック/ギターロックなど多くの要素が渾然一体となった音楽性を提示している。

1.真空から
 

 American Footballなどの海外のポストロックバンドを想起させるような、クリーントーンで広がりのあるアルペジオリフがイントロから炸裂しており、透明感漂わせるサウンドが響き渡っている。

 メロディアスなベースラインが器用に動き回っており、楽曲の表情をより豊かにする役割を果たしている。フェミニンで清涼感のあるコーラスワークが綺麗なハーモニーを紡ぎだしているのも印象的だ。

 ラスサビ前付近での間奏ではメタル顔負けの激しいバスドラムの連打が出てきたりと、様々な音楽的要素を違和感なく同居させることに成功している。

2.ロードショー
 

 現在でもライブに組み込まれることの多い彼らの代表曲の一つとなっている。確かな疾走感と爽やかなバンドサウンドが心地いい。

 派手なフレーズや展開が無いからこそ、より聴き手に歌がまっすぐ届いてくる印象がある。口ずさみやすい歌のメロディは強く記憶に残るものとなっていおり、それもあってカバーされている動画が動画サイトでも多く、ファンからの支持が厚いアンセムソングとなっている。

3.プールサイドガール
 

    彼らの初期の代表曲となっており、MVも存在する。(音源は旧バージョンのものが用いられており、若干アレンジが異なる。)

 男女の逃避行を思わせるような独特な歌詞と、それに追随するように清水氏の悲痛なシャウトがこの上ないくらい巧みに絡み合っている。

 ブレイクやキメを多用した展開は、さらにリスナーを楽曲の世界感に没入させるような役割がある。清水氏の息遣いまでもがはっきり聴こえるようになっており、まるでライブを見ているような臨場感に溢れている。

4.二月

 Aメロでは優しく語りかけるように歌い、サビではがなり立てるような激しいシャウトを使い分けていたりと、ボーカルとしての力量の高さを見せつけている。

 全体的に物悲しいモノトーンを想起させるような音数を抑えた演奏から「二月」という言葉通り、冬という季節の感傷的な風景を演奏をもって体現している。

5.君、想ふ頃

 作中でも屈指のバラードソングであり、堅実に支えるリズム隊のサウンドと、飾らない素朴なギターのサウンドの重なり合いが乾いた音像を紡ぎだしている。

 随所でヘヴィな低音ギターリフを挟んだり、サビに入る前にディレイを踏んで音像をガラッと変えたりと器用なアプローチが目立っており、清水氏のギタリストとしての素養の高さがうかがえる。

6.グリーングリーン
 
 
 爽やかなイントロから一転して、急激に鋭角なバンドサウンドに切り替わるキレの冴え渡ったアレンジが非常に印象深い。

 疾走感に溢れた楽曲なのだが穏やかに語り掛けるような部分で器用にクールダウンをしたりと、全体として緩急が付いており、バンドアンサンブルが細かいところまで練られていることが分かる。

 清涼感と疾走感に溢れたギターロックナンバーで幕をとじることによって、心地よく作品を聴き終えられるようになっており、まるでハッピーエンドの映画を見終わったかのような安心感に包まれる。

【総評】

 作品全体を通して音の足し引きが徹底的に計算され尽くされており、非常に緩急の付いたバンドアンサンブルになっている。歌の息遣いに至る細かい箇所までサウンドディレクションが行き渡っており、作品全体を通して伝えたい空気感や雰囲気が丁寧にパッケージングされているのも評価点だろう。

 スタジオ作品ながらもライブアレンジを意識した上で再録された楽曲もあり、彼らのライブバンドとしての持ち味が存分に感じ取れるようになっているのも大きな特徴だ。